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あさしも
光吉の学校で
拝賀式がおこなわれている
時刻に、母は
校舎のすぐうらにある
緑ガ
丘の
朝霜をふんで、そこにたたずんでいた。
窓ガラスごしに、
式場のありさまを見まもっているのだ。
行暮れて
一夜の
宿の
嬉しさや、
粟炊ぐ
手さへ
玉に
似て、
天井の
煤は
龍の
如く、
破衾も
鳳凰の
翼なるべし。
夢覺めて
絳欄碧軒なし。
芭蕉の
骨巖の
如く、
朝霜敷ける
池の
面に、
鴛鴦の
眠尚ほ
濃なるのみ。