とひ)” の例文
「でもうちこと始終しじゆうさむしい/\とおもつてゐらつしやるから、必竟ひつきやうあんなことおつしやるんでせう」とまへほゞやうとひかへした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かんじられしがわざとおせんに向はれ其方は其前より傳吉と密通みつつうせしと憑司より申立まをしたてしが此儀如何なるやととひければおせん少しはかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
じつくもつかむやうなはなしだが、まんが一もと旅亭やどや主人しゆじんんでいてると、果然くわぜん! 主人しゆじんわたくしとひみなまではせず、ポンと禿頭はげあたまたゝいて
れはういふ子細しさいでとちゝはゝ詰寄つめよつてとひかゝるにいままではだまつてましたれどわたしうち夫婦めをとさしむかひを半日はんにちくださつたら大底たいてい御解おわかりになりませう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とひ 現代の作家に就いて、比較上の問題ですが、東洋種と西洋種とに区別したら如何いかがなものでせうか。
東西問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この二こそ汝の思ひをひとしくすところのとひなれ、されば我まづ毒多きかたよりいはむ 二五—二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
といつて、わたしはきよとりとした。——これは帰京ききやう早々そう/\たづねにあづかつた緑蝶夫人ろくてふふじんとひこたへたのであるが——じつくち宿やど洋燈ランプだつたので、近頃ちかごろ余程よほどめづらしかつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
であるから自分じぶんうまきながらも志村しむらなにいてるかといふとひつねいだいてたのである。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
左内きようじてむしろをすすみ、さてしもかたらせ給ふに、富貴の道のたかき事、おのがつねにおもふ所露たがはずぞ侍る。ここにおろかなるとひ事の侍るが、ねがふはつばらにしめさせ給へ。
酉陽雑俎いうやうざつそいふ熊胆ゆうたん春はくびり、夏ははらに在り、秋は左の足にあり、冬は右の足にありといへり。こゝろみ猟師かりうどにこれをとひしに、くまきもは常にはらにありて四時しじ同じといへり。
院長ゐんちやうをはりとひには赤面せきめんして。『いや、あれ病人びやうにんです、しか面白おもしろ若者わかもので。』とこたへた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
兵士等へいしらだまつてあいちやんのはうました、とひあきらかにあいちやんにたいしてゞした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
善兵衞は先刻から、何遍も/\この同じとひを繰り返しますが
唯一ゆひいつとひ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
不圖ふと小六ころくんなとひ御米およねけた。御米およね其時そのときたゝみうへ紙片かみぎれつて、のりよごれたいてゐたが、まつたおもひらないといふかほをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たゞこの秘密造船所ひみつぞうせんじよづるまへに、一言ひとこときたきは、海底戰鬪艇かいていせんとうてい竣成しゆんせい期日きじつと、このてい如何いか命名めいめいされるかとのてんである。大佐たいさわたくしとひたいして、悠々ゆう/\鼻髯びせんひねりつゝ
酉陽雑俎いうやうざつそいふ熊胆ゆうたん春はくびり、夏ははらに在り、秋は左の足にあり、冬は右の足にありといへり。こゝろみ猟師かりうどにこれをとひしに、くまきもは常にはらにありて四時しじ同じといへり。
見し由にて心にかゝる旨申に付吉凶きつきようとはんと存じ夕七つ時分に宿やどを出しに途中とちうにて先年懇意こんいになりし細川家の藩士はんし井戸ゐと源次郎げんじらうに出會しゆゑ如何なる用向ようむきにて此地へ來られしやととひしに妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『はてね、』ととひあやしなかに、とひるんだのが、づる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平次のとひ委細ゐさい構はずお越に突つ込んで行きました。
梅子はう答へて、すぐ新聞をひざからおろすと、手を鳴らして、小間使こまづかひを呼んだ。代助は再びちゝざい不在ふざいたしかめた。梅子は其とひをもう忘れてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『な、な、何故なぜですか。』と、りく仲間なかま一時いちじ顏色がんしよくへたのである。大佐たいさは、たゞちにこのとひにはこたへんとはせで、かうべめぐらして、彼方かなたなる屏風岩べうぶいわほうながめたが、沈欝ちんうつなる調子ちようし
知てゐるかととひけるにお政は然樣さやうさ只馬喰町とのみ承まはりましたと申ければ文右衞門は宜々よし/\いづれにも此金子は返さねばならぬ馬喰町へゆき紙屑買かみくづかひの市之丞と聞ば知れぬ事はあるまじあけなば直樣すぐさま一走ひとはしりと文右衞門はあけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平次のとひのさり氣なさ。
「ありや一體いつたいなにをするをとこなんだい」と宗助そうすけいた。このとひ今迄いままで幾度いくたび御米およねむかつてかへされたものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「大変おそうがしたな。明日あした何時なんじの汽車で御ちですか」と玄関へあがるやいなとひけた。代助は、微笑しながら
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なんだつて、まだおくさんを御貰おもらひなさらないの」と聞いた。代助は此とひにも答へる事が出なかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎は知るとも、知らぬとも云ひ得ぬ程に、此とひを予期してゐなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)