鼕々とう/\)” の例文
そして悉くが雪に封じ込められた、渾沌とした靜寂の中に、杉山から引いた桶の水ばかりが、鼕々とう/\と云つた音を立てゝは落ちてゐた。
奇病患者 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
みゝかたむけると、何處いづくともなく鼕々とう/\なみおときこゆるのは、この削壁かべそとは、怒濤どとう逆卷さかま荒海あらうみで、此處こゝたしか海底かいてい數十すうじふしやくそこであらう。
京子の寢床は空になつて、縁側の雨戸は人の出入りの出來るほどだけ繰り開かれ、山川の瀬の音が鼕々とう/\と聞えて、行燈あんどうの灯は今にも消えさうにチラ/\搖いでゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
こし申上おかざればかなふ可らずと是も明朝明六時あけむつのお太鼓に登城の用意を申付られたりすでにして翌日よくじつ御城おんしろのお太鼓むつ刻限こくげん鼕々とう/\鳴響なりひゞけば松平伊豆守殿には登城門よりハヤ駕籠かご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はや鼕々とう/\とうちいづる
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)