黒駒くろこま)” の例文
そうしてその中で燃えている火は、血を含んででもいるように見え、そこから吹き出している墨のような煙りは、黒駒くろこまなびかせるたてがみのようであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かどの柳のみどりから、黒駒くろこまの背へしずくが流れて、はや雲切くもぎれがして、その柳のこずえなどは薄雲の底に蒼空あおぞらが動いています。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聖徳太子の愛馬が出たというところから黒駒くろこまの名がある。その他、鳳凰山ほうおうざん、駒ヶ岳あたりも馬の産地から起った名であります。御勅使川みてしがわの北の方には駒場村というのがあります。
冬は雪二丈もつもりて人のゆきゝもたゆるゆゑ、此時人死すれば寺におくる事ならざれば、此村に山田を氏とする助三郎といふものゝ家にむかしより持伝へたる黒駒くろこま太子としようする画軸ぐわぢく*7あり
六の時にはもうほおひげも生えて三十くらいに見え、へんに重々しく分別ありげな面構つらがまえをして、すこしも可愛かわいいところがなく、その頃、讃岐に角力すもうがはやり、大関には天竺仁太夫てんじくにだゆうつづいて鬼石、黒駒くろこま
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)