鳳眼ほうがん)” の例文
痩躯そうく長面、いつも鳳眼ほうがんきらりとかがやいて、近ごろの曹操は、威容気品ふたつながら相貌そうぼうにそなわってきた風が見える。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
智的な額、血色の良い——頗る黒々と陽焦けのした顏、鳳眼ほうがんで、唇が堅く結んで、如何にも好ましい青年武士です。
額広く眉太く、眼は鳳眼ほうがんといって気高く鋭く、それでいて愛嬌があり、鼻はあくまで高かったが、鼻梁が太いので険しくなく、仁中じんちゅうの深いのは徳のある証拠、唇は薄くなく厚くない。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
曹操は、詩を感じているのか、或いは彼女たちの若さに喜悦しているのだろうか、その鳳眼ほうがんに笑みをたたえて見送っていたが、——ふと客の玄徳に気づいて
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ともし連らねた無数の燈明、煙りを上げている青銅の香炉、まずそれはよいとして、神号を見れば薬師如来、それと並んで掛けられた画像! 白髪はくはつ白髯はくぜん鳳眼ほうがん鷲鼻しゅうび、それでいてあくまで童顔であり
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
キリツとした顏立に枝からもぎ取つたばかりの桃の實のやうな銀の生毛うぶげ曲線カーブのきつい、可愛らしい唇の反り、蛾眉がび鳳眼ほうがん——といふといかめしくなりますが、さう言つた上品な道具立のうちに
眼は鳳眼ほうがんであり、耳朶じだは豊かで、総じて、体のおおきいわりに肌目きめこまやかで、音声もおっとりしていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謙信の鳳眼ほうがんは、ぽっと紅をふくんでいた。一同の容子に、彼も、やおら杯を下において
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
似絵にせえ師のことばでよく、“藤原顔”というあの瓜実顔うりざねがおではあるが、鳳眼ほうがんするどく、濃いおん眉、意志のつよげなお唇もと、また、ひげ痕も青々と、皇系にはまれな男性的な御風貌であった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下頬膨しもぶくれにふっくらと肥え、やや中窪なかくぼで後頭部の大きな円頂あたまは青々として智識美とでもいいたいようなつやをたたえ、決して美男という相ではおわさないが、眉は信念力を濃く描いて、鳳眼ほうがんはほそく
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母公は怪しんで、わけを訊くと、玄徳は鳳眼ほうがんにかなしみをたたえて
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、なお云いかけると、曹操は細い鳳眼ほうがんをかっとひらいて
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身ノたけ八尺余、ひげ美しく、まなこは鳳眼ほうがん——。気に入った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この子は鳳眼ほうがんだ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)