高坂こうさか)” の例文
甲の名将高坂こうさか弾正昌信の守る堅城の前後を会釈もなく通って、敵地深く侵入して妻女山に占拠したわけである。正に大胆不敵の振舞で敵も味方も驚いた。
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
神にまつられるほどの甚内様とは何人ぞ。それは英雄にもあらず、また義人にもあらず、一箇の盗賊に過ぎないのであります。姓を高坂こうさかといって、名は甚内。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
越後の名臣と、世間から定評あるものは、宇佐美、柿崎、直江、甘糟あまかすだといわれているし、甲州の四臣として有名なものには、馬場、内藤、小畑おばた高坂こうさかがある。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土屋庄八郎昌猛はこれほど勝れた人物であったが家庭的には不幸の人で、高坂こうさか弾正の娘であり己が妻であるおたえの方を信ずることが出来なかった。お妙の方には恋人があった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
高坂こうさか三伝さんでんというのが、マア首領株で、他にはたしか——それが、三、四、五と順になるような名前じゃったと思うたが——それぞれ船場せんば四郎太、それから矢伏やぶせ五太夫、もう一人は
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
背後うしろから呼ぶやさしい声に、医王山いおうざんの半腹、樹木の鬱葱うっそうたる中をでて、ふと夜の明けたように、空み、気きよく、時しも夏のはじめを、秋見る昼の月のごとく、前途遥ゆくてはるかなる高峰たかねの上に日輪にちりんあおいだ高坂こうさか
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
高坂こうさか室賀むろがの精兵、およそ二千ほど残って、かたく城を制し、さらに、城の西山にも監視隊がおるらしく、附近の支塁しるいとび山のあたりへかけ、概数一千余の兵がひそんでおるやに考えられます
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十四歳の少年武士、高坂こうさか弾正の妾腹の息、高坂甚太郎はお受けをした。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
高坂こうさか邸、馬場邸、真田さなだ邸の前を通り、鍛冶かじ小路の方へ歩いて行く。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)