馳寄はせよ)” の例文
そのうちに幕の横や下から笠支配人を先に立てた四五人が馳寄はせよって来て、呉羽の身体からだを無造作に、向って左の方へ抱え上げて行った。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わがすくひにゆかむとするを待たで、かたえなる高草の裏にあと叫ぶ声すと聞くに、羊飼のわらべ飛ぶごとくに馳寄はせより、姫が馬のくつわぎはしかと握りておししずめぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
きゝ其所に居るのはお梅かと言へばお梅はオヽとゝさん何卒どうぞたすけて下されと聞くより上臺は馳寄はせよるに雲助は是を見て邪魔じやまだてなすなとぼう振上ふりあげうつて掛るを引外し脇差わきざしぬい切懸きりかゝるに彼の雲助は逃ながら女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)