香盒こうごう)” の例文
お前がその意地なら腕にりをかけてやってみろ、幸い、あの遊行上人は、天竺てんじくから来たという黄金きん曼陀羅まんだら香盒こうごうというものを持っている
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夜逃げ同様屋敷を脱け出したのがしからぬという言い掛りでしたが、近頃はお袖に預けた古筆こひつの茶掛け一じくと、彫三島ほりみしまの松の葉の香盒こうごうが紛失したから
かたわらの飾り台の上に、大いなる青銅の香炉こうろありて、香煙立ち昇る。傍に、唐獅子からじしの陶器の香盒こうごうを置く。王座のうしろに、丈高き二枚折りの刺繍屏風。
その外馬遠ばえんの対幅が五百両、牧渓もっけいが一幀五百両なり。その他もこれに準ず。また茶器を買入るるものあり(銘は知らず)、茶盒ちゃごう千五百両、南蛮縄簾なわすだれ水指みずさし三百両、祥瑞しょうずい香盒こうごう二百両なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
千鳥棚のうえから、香盒こうごうに似たうつわへ、つばのついている陶器口とうきぐち煙管きせるをのせ
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古筆こひつ軸物じくものとか、三島の香盒こうごうとかは、いずれ屑屋くずやか何かで捜してお返しいたします。ヘエ——