香煙こうえん)” の例文
このとき、はや衆僧は、如海にょかいに引率されて、奥の法要の道場へ乗込んでいた。香煙こうえんるるとけいを合図に礼拝らいはいする。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むらさき香煙こうえんが、ひともとすなおに立昇たちのぼって、南向みなみむきの座敷ざしきは、硝子張ギヤマンばりなかのようにあたたかい。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
香煙こうえんに心を残し墓参り
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
二本の朱蝋燭しゅろうそくをあかあかととぼさせたり、また、紙銭かみぜにや花をかざり、その間には香煙こうえん縷々るるいて、およそ兄の武大が生前好きだった種々くさぐさな供物は、なにくれとなく
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、香煙こうえんゆるがせて、おそおそふすまあいだからくび差出さしだしたのは、弟子でし菊彌きくやだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)