飯粒まんまつぶ)” の例文
そのなくなった祖母は、いつもほとけの御飯の残りだの、洗いながしのお飯粒まんまつぶを、小窓に載せて、雀を可愛かわいがっていたのである。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの時、雀の親子のなさけに、いとしさを知って以来、申出るほどの、さしたる御馳走でもないけれど、お飯粒まんまつぶの少々は毎日欠かさずいて置く。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そりゃ同じ所に住んでるから、緋鯉にくが当前あたりまえだけれどもね、君が、よくお飯粒まんまつぶで、糸で釣上つりあげちゃ投げるだろう。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そりやおなところんでるから、緋鯉ひごひくが當前あたりまへだけれどもね、きみが、よくお飯粒まんまつぶで、いと釣上つりあげちやげるだらう。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飯粒まんまつぶいてやった、雀ッ子にだって残懐なごりおしいや、蔦ちゃんなんか、馴染なじみになって、酸漿ほおずきを鳴らすと鳴く、流元ながしもとけえろはどうしたろうッてふさぐじゃねえか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そのお飯粒まんまつぶで蛙を釣って遊んだって、御執心の、蓮池のやしきの方とは違うんですか。」
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……おお、よちよち、と言った工合に、この親馬鹿が、すぐにのろくなって、お飯粒まんまつぶの白いところを——贅沢ぜいたくな奴らで、うちのは挽割麦ひきわりぜるのだがよほど腹がすかないと麦の方へははしをつけぬ。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)