飯米はんまい)” の例文
それがあいつらの飯米はんまいなのさ。言ってみれあ、こちとらの給金に当るものが奴らには燕麦なんだからなあ。それがあいつらの飯米って訳さ。
飯米はんまい一升買いの時代のあとには、一俵買いの時代も来、後には馬で中津川から呼ぶ時代も来た。新宅桝田屋の主人はもうただの百姓でもなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
貧乏旗本や御家人が、半年分の米を積んでおける餘裕のある筈はないから、みすみす半期の飯米はんまいが消えてしまはうとも、金に代へなければならない。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
そういう中でも田植の日の飯米はんまいなどは、かたい家では早くからしらげてたわらにして、用意して置くものが今でもある。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして日々にち/\飯米はんまいはかつて勝手へ出す時、紙袋かみぶくろに取り分け、味噌みそしほかうものなどを添へて、五郎兵衛が手づから持ち運んだ。それを親子炭火すみび自炊じすゐするのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
……いやなら嫌でいいよ、もうお前にはどの子も頼まないから。その代りこの家とはこれっきり縁を切るから、そうお思い。飯米はんまいに困るなんてまた泣きついて来たって知らないよ。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
こんいけ畜生め、暮れの飯米はんまいもねいのに、博打ぶちたあ何事なにごったって、どなったまではよかったけど、そら眼真暗だから親父と思ってしがみついたのがその親分の定公であったとさ。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
I君がになうて来てくれたは、白米一斗、それは自家の飯米はんまいを分けてくれたのでした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)