ひら)” の例文
新字:
ひらめく暖簾のれんに招きの声、ゾロゾロ通る人の足音、それに加えて三味線の音、太鼓の音などもきこえてくる。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「豪い!」といいさま、小紋縮緬こもんちりめんで裏が緞子どんすおなじく薄ッぺらな羽織をひらりとねて、お納戸地の帯にぐいとさした扇子を抜いて、とんと置くと、ずっと寄って、紙幣を請取り
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又は一点の機微に転身をやしたりけむ、忽然こつぜん衝天しょうてんの勇をふるひ起して大刀を上段真向まっこうに振りかむり、精鋭一呵いっか、電光の如く斬り込み来るをひらりと避けつゝはたと打つ。竹杖のあやまたず。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)