顏立かほだち)” の例文
新字:顔立
顏立かほだちもお品よく、眼はどちらかといへばロチスターさんに似て——大きくて黒く、それに身につけてゐらつしやる寶石のやうにまばゆいやうですよ。
これは俗に泣黒子なきぼくろと云つて、幸にも自分の一族、乃至は平生畏敬して居る人々の顏立かほだちには、ついぞ見當らぬ道具である。むべなる哉、この男、どうせ將來好い目に逢ふ氣づかひが無いのだもの。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
もらひ持參せし由其酒にて醉伏ゑひふし相果あひはて候事と存じられ候と聞より彌々いよ/\不審いぶかしく思ひ次右衞門申樣右寶澤の顏立かほだち下唇したくちびるちひさ黒痣ほくろ一ツ又左の耳の下に大なる黒痣ほくろ有しやと聞に如何にも有候とこたへるにぞ然ば天一坊は其寶澤に相違さうゐなしと兩士は郡奉行遠藤喜助にむかひ其寶澤の衣類等いるゐとう御座候はゞ證據しようこにも相成るべく存じ候へば申受度と云に喜助きすけ申樣夫は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この水盤の傍に絨毯じゆうたんを敷いて坐つてゐるのは、肩掛を※ひ、頭には頭被タバアンを被つたロチスター氏であつた。彼の黒い眼と淺黒い顏の色と囘教徒フイ/\けうとのやうな顏立かほだちとが、その衣裳にしつくり合つてゐた。
これは滿開の花のやうな、むつちりとよくふとつた娘で、蝋細工のやうに白く、美しいとゝのつた顏立かほだちをしてゐて、氣力のない青い眼と、いた黄色い髮を持つてゐた。彼女の服の色も矢張り黒だつた。