頬杖ほほづゑ)” の例文
金花は頬杖ほほづゑをついた儘、浮かない顔色を改めなかつた。が、山茶の言葉には多少の好奇心を動かしたと見えて
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
燈籠へ倚掛よつかかつて頬杖ほほづゑでもいて、空をながめてゐるかたちなども可いよ。ねえ、如何いかがでせう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
誰か来るかも知れない今日一日見てゐようと税務署長は頬杖ほほづゑをついて見てゐた。
税務署長の冒険 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
蒲「さうしてあたま癖毛くせつけの具合がな、愛嬌あいきようが有つたぢやないか。デスクの上に頬杖ほほづゑいて、かう下向になつて何時いつでも真面目まじめに講義を聴いてゐたところは、何処どこかアルフレッド大王にてゐたさ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼の先輩は頬杖ほほづゑをしたまま、極めて無造作に返事をした。
或阿呆の一生 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あをにごれるほほの肉よ、さらばへる横顔の輪廓りんかくよ、曇の懸れるまゆの下に物思はしき眼色めざしの凝りて動かざりしが、やがてくづるるやうに頬杖ほほづゑを倒して、枕嚢くくりまくらに重きかしらを落すとともに寝返りつつ掻巻かいまき引寄せて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)