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ほほづゑ
蒲「さうして
髪の
癖毛の具合がな、
愛嬌が有つたぢやないか。デスクの上に
頬杖を
抂いて、かう下向になつて
何時でも
真面目に講義を聴いてゐたところは、
何処かアルフレッド大王に
肖てゐたさ」
彼の先輩は
頬杖をしたまま、極めて無造作に返事をした。
蒼く
濁れる
頬の肉よ、
髐へる横顔の
輪廓よ、曇の懸れる
眉の下に物思はしき
眼色の凝りて動かざりしが、やがて
崩るるやうに
頬杖を倒して、
枕嚢に重き
頭を落すとともに寝返りつつ
掻巻引寄せて