あずけ)” の例文
奉「亥太郎、森松、國藏、其の方どもがかみを偽る段不届であるぞ、五十日間手錠組合あずけを申付ける、文治郎其の方ことは吟味中揚屋入あがりやいりを申付ける」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女房は独り機嫌悪く、由緒よしなき婦人おんなを引入れて、蒲団ふとんは汚れ畳は台無し。鶏卵たまごの氷のと喰べさせて、一言ひとことの礼も聞かず。流れ渡った洋犬かめでさえ骨一つでちんちんおあずけはするものを。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前晩ぜんばん酉の刻から、九郎右衛門とりよとを載せるために、酒井家でさし立てた二ちょうの乗物は、辻番所に来て控えていたのである。九郎右衛門、文吉は本多某に、りよは神戸にあずけられた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
銀行に預けるはさて置き、そのあずけた紙幣の大小を一寸ちょいと私に取替えてもとの姿を変えることも気がまない。如何どうでもれはもって生れた藩士の根性か、しからざれば書生の机の抽斗ひきだしの会計法でしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
城をも、切角の戦利品をも、おあずけになったのね。