青隈あおぐま)” の例文
見違えるほど痩せ細って、頬骨ほおぼねとがり、目は青隈あおぐまをとったよう、眉間みけんにも血、腕にも血、足にも血……。ふた目とみられぬ姿である。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
結局が百日鬘ひゃくにちかずら青隈あおぐま公卿悪くげあくの目を睨合にらみあいの見得みえで幕となったので、見物人はイイ気持に看惚みとれただけでよほどな看功者みごうしゃでなければドッチが上手か下手か解らなかった。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
南無三宝なむさんぽう、も一つの瓶にはまむしが居たぞ、ぐるぐると蜷局とぐろを巻いた、胴腹が白くよじれて、ぶるッと力を入れたような横筋の青隈あおぐまくぼんで、逆鱗さかうろこの立ったるが、瓶の口へ、トとどく処に
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
落ちた途端にふたがとれて、その中からころころとおどり出したのは鬼女の仮面めん、口は耳まで裂け、まなじりをつり、青隈あおぐまの色も物すごく、大地へピタリとすわッている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄明は、かんむりをかぶり、しゃくを、装束の襟にさし、両手に、榊を捧げている。面には、何か、白い粉や青隈あおぐまを塗り、付けひげであろう、胸の辺まで、白髯を垂れていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その顔色が、青隈あおぐまをとったように青ざめていたのには、使いの源七は気がつかないで
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)