霍亂くわくらん)” の例文
新字:霍乱
朴訥ぼくとつな調子で話り了ると、石津右門はホツと溜息を吐きます。鬼の霍亂くわくらんしをれ返つた樣子は、物の哀れを通り越して可笑しくなる位。
あるなつ日盛ひざかりに、二人ふたりして、なが竿さをのさきへ菓子袋くわしぶくろくゝけて、おほきなかきしたせみりくらをしてゐるのを、宗助そうすけて、兼坊けんばうそんなにあたまらしけると霍亂くわくらんになるよ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
冒込おひこみ其がにはかに發したるのにて先づ申さば霍亂くわくらんなりとて藥を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
名乘るとすぐ通してくれたのは、奧まつた一室、石津右門相變らず鬼の霍亂くわくらん見たいな顏に、鬱陶うつたうしいしわを刻んで出て來ました。
「しめたと思つたから、飛んで行つて勘三郎を擧げるつもりだつたが、いけねえ、——肝腎の勘三郎は、三日前から霍亂くわくらんかゝつて、死ぬやうな騷ぎだ」
五十前後の鬼が霍亂くわくらんを患つたやうな惡相の武家、眼も鼻も口も大きい上に、澁紙しぶがみ色の皮膚、山のやうな兩肩、身扮みなりも、腰の物も、代表型テイピカル淺黄あさぎ裏のくせに、聲だけは妙に物優しく
「ブルブル、御免かうむりませうよ。辻斬と霍亂くわくらんは大嫌ひで」