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雪見燈籠
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ゆきみどうろう
右の
裝ひでスリツパで
芝生を
踏んで、
秋空を
高く
睫毛に
澄して、やがて
雪見燈籠の
笠の
上にくづほれた。
その茶寮の縁先からは、遠からぬ所の
御行の松が、夜の空を摩してのぞまれますし、広い庭は、
雪見燈籠も
空堀の
那智石も、落葉に
埋まって冬ざれの霜の荒れにまかせてあります。
金色夜叉中編のお
宮は、この
姿で、
雪見燈籠を
小楯に、
寒ざきつゝじの
茂みに
裾を
隱して
立つのだから——
庭に、
築山がかりの
景色はあるが、
燈籠がないからと、
故らに
据ゑさせて