開基かいき)” の例文
その地域をあてて、寺名も北朝年号をそのまま「暦応りゃくおう禅寺」となし、国師に、その開基かいきとなってもらいたいというのが、尊氏の希望であった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下野薬師寺は奈良の東大寺、筑紫の観音寺と共に天下の三戒壇、鑑真の開基かいきで、日本有数の名刹めいさつだった。この名刹の別当は、流刑というには当らない。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
奥方の心では二人の子を持戒堅固ぢかいけんご清僧せいそうに仕上げたならば、大昔おほむかしの願泉寺時代のたヽりが除かれやう、ぬまぬししづまるであらうと思つたので、開基かいきと同じ宗旨しうし真言寺しんごんでらと聞いて
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
開基かいき了誉上人りょうよしょうにん始祖しそ家康いえやすの生母がここに葬られているために、寺領六百石を領して、開山堂、弁財天祠べんざいてんし外久蔵主稲荷たくぞうぬしいなり常念仏堂じょうねんぶつどう経堂きょうどう無縁塚むえんづか坊舎ぼうしゃが三カ寺、所北寮しょけのりょうが百軒
巡錫じゅんしゃくの打ち合せなどを済ましたあと、しばらく雑談をしているうちに、老師から縁切寺えんきりでら由来ゆらいやら、時頼夫人の開基かいきの事やら、どうしてそんな尼寺へ住むようになった訳やら、いろいろ聞いた。
初秋の一日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
開基かいきかい。開基は伝教大師でんぎょうだいしさ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)