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鏡台
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きやうだい
部屋には
箪笥の
外に、
鏡台もある。
針函もある。
手文庫もある。
若し
秘密があるとすれば、
其等の
中にも
無いとは
保しがたい。
いかほど
抱主に
歩割を
取られても、
自分一人では
使ひ
切れないくらいで、三
年の
年季の
明ける
頃には
鏡台や
箪笥も
持つてゐたし、
郵便局の
貯金も
万以上になつてゐたが、
帰るべき
家がないので
文庫のなかを
捜しても
無つた。
鏡台にも
針箱にも
箪笥の
抽斗にも
無つた。
大方焼棄てるか
如何かしたのであらう。