あつ)” の例文
他なし渠輩きょはいが政治上においてかくのごとき願望を有するゆえん、しかしてこの願望はあつまりてかくのごとき大勢力をなすゆえんのものは
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
威武遠く富士に迫れども、大霊のあつまるところ、へりくだりて之を凌がず、万山富士にはその徳を敬し、鎗ヶ嶽には其威をおそる。
野州やしうはすぐれた山水の美をあつめてゐるので聞えてゐる。水石の美しいので聞えてゐる。深い溪谷の多いので聞えてゐる。雲煙の多いので聞えてゐる。
日光 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
白糸の眼色めざしはその精神の全力をあつめたるかと覚しきばかりの光を帯びて、病めるに似たる水のおもたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くなった父の寵愛ちょうあいを一身にあつめて成人したので、七つになる児の母親である今日でも、何処かだだっ児じみた所があって、精神的にも体質的にもこらしょうがなく
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何と言っても、江戸が武将の幕府である限り、芸術の秀粋も江戸にあつまることは当然である。その江戸芸術の粋たるものは当時、講武所にあるということも、避け難い結論となっている。
ウッドは英国楽壇の長老として、非常に大きな尊敬を一身にあつめている。
まことに愛のいさぎよかな、この時は宮が胸の中にも例の汚れたる希望のぞみは跡を絶ちて彼の美き目は他に見るべきもののあらざらんやうに、その力を貫一の寐顔にあつめて、富も貴きも、乃至ないしあらゆる利慾の念は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)