金覆輪きんぷくりん)” の例文
やがて源氏の武者一騎、萌葱もえぎおどしの鎧きて、金覆輪きんぷくりんの鞍置いたる黒駒にまたがり、浪打ちぎわより乗入ったり。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
自宅うち鹿毛かげと青にその方の好きなあの金覆輪きんぷくりんの鞍置いて飛ばすれば、続く追っ手は当藩にはらぬ筈じゃ。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
固い一方で通つた男、三十五まで獨り者で暮したお店者たなものが、金覆輪きんぷくりんのお職華魁と、生れて始めて口をきいたんだから、フラ/\になつたのも無理はありませんよ。
重代のきせなが唐革縅からかわおどしよろいをかつがせ、自分は赤地の錦の直垂ひたたれ萌黄匂もえぎにおいの鎧を着こみ、金覆輪きんぷくりんの鞍置いた連銭葦毛れんせんあしげに乗った姿は、絵にも筆にも及び難しと人々は賞めそやした。
灰白色くわいはくしよくくもうら金覆輪きんぷくりんきいづる
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水干鞍すゐかんくら金覆輪きんぷくりん
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
相濟みません、野郎もとうが立つて縁遠くなると、淺ましくもなりますよ。どう生れ變つても、中屋貫三郎が請出したやうな、入山形に二つの星の、金覆輪きんぷくりん華魁おいらんはこちとらの相手にはなりやしません。