里子さとこ)” の例文
陸が生れた弘化四年には、三女とうがまだ三歳で、母のふところを離れなかったので、陸は生れちるとすぐに、小柳町こやなぎちょうの大工の棟梁とうりょう新八というものの家へ里子さとこられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
高橋梅たかはしうめすなわち僕の養母は僕の真実の母、うみの母であったのです。さい里子さとこは父をことにした僕の妹であったのです。如何どうです、これがあやしい運命でなくて何としましょう。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ところが横浜に高橋という雑貨商があって、随分盛大にやって居ましたが、其主人あるじは女で名はうめ所天つれあいは二三年前になくなって一人娘ひとりむすめ里子さとこというを相手に、贅沢ぜいたくくらして居たのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)