釈迦様しゃかさま)” の例文
旧字:釋迦樣
お前もまさか、お釈迦様しゃかさま檀特山だんどくせんへはいって修行したというほどの決心で帰ってきたというものを、追返すというわけにも行くまい。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
死んでこの竜は天上にうまれ、後には世界せかいでいちばんえらい人、お釈迦様しゃかさまになってみんなに一番のしあわせをあたえました。
手紙 一 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それはちゃんとお釈迦様しゃかさまが経文に説いておいでになることで、物をかりて返せないうちに死ぬ時は、牛に生れてきて八年間働かねばならぬと申されてある
土の中からの話 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
米友が持っておいでなさるこの杖は、杖と見えても杖じゃねえんだ、まかり間違ったら槍に化けるように仕掛がしてあるとはお釈迦様しゃかさまでも気がつくめえ。
釈迦様しゃかさまより間違いのない事を云うわ。いや、またお一どのの指環を銜えたのが悪ければ、晴上がった雨も悪し、ほかほかとした陽気も悪し、虹も悪い、と云わねばならぬ。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
村は一月晩ひとつきおくれでも、寺は案外陽暦ようれきで行くのがあって、四月八日はお釈迦様しゃかさま誕生会たんじょうえ。寺々のかねが子供を呼ぶと、とうかあねえに連れられた子供が、小さな竹筒をげて、嬉々ききとして甘茶あまちゃを汲みに行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
釈迦様しゃかさまでも
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
左様そうさね、お説の通り、三喜は寛正の六年の四月八日に生れたんだ、お釈迦様しゃかさまの日だからよく覚えていますよ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二の烏 道理かな、説法せっぽうかな。お釈迦様しゃかさまより間違ひのない事を云ふわ。いや、又おいちどのの指環をくわへたのが悪ければ、晴上はれあがつた雨も悪し、ほか/\とした陽気も悪し、にじも悪い、と云はねば成らぬ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
釈迦様しゃかさまと同じように、こういう難行苦行だけが本当の人を救う道ではござるまい、誰かもう少し本当の道を教えてくれる人はないか——それから師を求め、道をとぶろうて修行して
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)