軽挙かるはずみ)” の例文
旧字:輕擧
鈍痴漢とんちんかんの、薄鈍うすのろ奴等やつらくすり糸瓜へちまもあるものか、馬鹿ばかな、軽挙かるはずみな!』ハバトフと郵便局長ゆうびんきょくちょうとは、この権幕けんまく辟易へきえきして戸口とぐちほう狼狽まごまごく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
またその失敗を他人ひとのせいにしたり、自分の軽挙かるはずみを恨み、眼の前の不成績を取り戻す努力は一向お留守になります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
友人のうちには、もうそれほど好くなったかと喜んでくれたものもある。あるいはまたあんな軽挙かるはずみをしてやりそこなわなければいいがと心配してくれたものもある。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お銀のこのごろの心には、そこへ身のうえの相談に行ったことすら、軽挙かるはずみのように思われて来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かならず大切だいじにせい軽挙かるはずみすなとおっしゃるは知れたこと、さあ此衣これを着て家に引っみ、せめて疵口くちのすっかり密着くっつくまで沈静おちついていて下され、とひたすらとどめなだめ慰め
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
主人へ上げると心得て忠義をつくすのだ、決して軽挙かるはずみの事をするな、曲った奴にはさからうなよ
軽挙かるはずみなことはなさらぬように……と申し上げますと、口幅ったいようでございまするが、ともかく、お金で済むようなことでしたら、いつでも御遠慮なく、御相談を願いたいものでございます
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お上人様の御目にかゝつて三日四日の養生を直〻に願ふて来ましよ、御慈悲深いお上人様の御承知なされぬ気遣ひない、かならず大切だいじにせい軽挙かるはずみすなと仰やるは知れた事、さあ此衣これを着て家に引籠み
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)