)” の例文
こういうことは東西そのいつにするのかも知れぬが、わしも六十六番の二階で、よくその時計の鳴音なるおとを聴いたのが今も耳の底に残っている。
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
けれどそれには絶対に、あやまらない文化的な省察せいさつと、一見、弱気にも似ている沈着な力の堅持が必要である。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄金こがねのうずたかきところ、醜きまでにあらわな我欲迷執めいしゅうの集まることは、古今そのを一つにする。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この二人にくらべると、ほかの『城』同人は存外特色に乏しかった。が、身綺麗みぎれいな服装の胸へ小さな赤薔薇あかばら造花ぞうかをつけている事は、いずれもを一にしているらしかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
床下を全部コンクリートにして湿気を避けおおせたりと安心していると、いずくんぞ知らん、湿気が全部上へあがって床板や畳がじくじくになってしまうのと、全くいつにする失敗である。
おそらくこの老人とても、こうして雑魚寝ざこねの連中と同一の人種に違いない、とそのことは考えられたが、なお氏の頭には、老人の態度その他の、変に紳士的なところが理解できかねたのである。
地図にない街 (新字新仮名) / 橋本五郎(著)
(「中央公論」五月号所載)同時に又三宅幾三郎いくさぶらう氏の議論である。(「文芸時代」五月号所載)僕は偶然を一にした両氏の議論に興味を感じた。両氏の議論はあたつてゐるであらう。
まさに、国費の濫費らんぴである。曹叡そうえいほどな明主にして、なおこのへいに落ちたかと思うと、人間性の弱点のおちいるところみないつにしているものか、或いは、文化の自然循環と見るべきものか。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)