身丈せい)” の例文
その時同じく潰島田つぶしった小づくりの年は二十二、三の芸者につづいて、ハイカラに結った身丈せいの高い十八、九の芸者が来て末座に坐る。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また、彼女はこの間一人の伯爵夫人と一人の華族様とを見たが、その貴公子は「ちょうどピータア位の身丈せい恰好かっこうであった」
藤「だって誠に品格ひんい、色白な眉毛の濃い、目のさえ/″\した笑うと愛敬の有る好い男の身丈せいのスラリとした」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
痩せぎすで身丈せいが高く、抜けるほど色が白い、眼は切れ長で睫毛まつげが濃く、気になるほど険があり、鼻も高く肉薄で鋭く、これも棘々とげとげしく思われましたが、口もとなどはふっくりとして優しく
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
阿母さんの方が気持ち身丈せいが低くてらしつたやうに思ひますがネ——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
渡邊さんや秋月さんが取做とりなすと殿様もゆるすだ、秋月さんは槍奉行を勤めているが、成程つよそうだ、身丈せいが高くってよ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母の京子は娘よりも十八年上であるが髪も濃く色も白いのみか娘よりも小柄こがら身丈せいさえも低い処から真実姉妹のように見ちがえられる事も度々たびたびであった。
寐顔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ずっと古い過去のですか」と、スクルージはその侏儒のような身丈せい恰好かっこうに眼を留めながら訊いた。
彼がこの部屋へ入って来た時、引き開け、そのまま閉じるのを忘れていた襖の間に、身丈せいの高い、肩巾の広い、五十近い男が、太い眉、厚い唇の、精力的の顔を、お篠の方へ向けて立っていた。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
身丈せいがすらりとして、身なりは芸者衆よりいい位だから、銀座でもきっと一流のカッフェーでしょうよ。いつでも来るのは朝早いのよ。九時前の時もあるわ。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今二インチも自分の身丈せいが高かろうものなら、きっと天井に頭を打ち附けたろうと思われるような、丈の高い書机の向うに腰掛けているのを一目見ると、スクルージは非常に興奮して叫んだ。
灰は八方へ散乱致す、其のうちにお瀧は一生懸命だから四巾布団よのぶとんを取ってうしろから茂之助を抱き締めましたが、女の事で身丈せいが低いから羽がい締めと云う訳には参りません、脇の下をお瀧に押えられたが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何より先に蘇生させてくれた恩人の姿を見つけようと足跡を手頼たよりに進んで行ったが、林へはいると雑草に蔽われ見出すことが出来なかった。雑草はたけ延びて身丈せいよりも高く林の中は夜のように暗い。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一人取残された身丈せいの高いハイカラの芸者は、その場の様子から清岡を自分の出る客と思ったらしく、「もうれたようね。」と言いながら並んで腰をかけた。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その頃、幾年となく、黒衣くろごの帯に金槌かなづちをさし、オペラ館の舞台に背景の飾附をしていた年の頃は五十前後の親方がいた。眼の細い、身丈せいの低くからぬ、丈夫そうな爺さんであった。
草紅葉 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
身丈せいは高からず低からず、肉付は中の部である。
申訳 (新字新仮名) / 永井荷風(著)