けり)” の例文
そのひましたがひたりし翁は、これも傘投捨てて追ひすがり、老いても力や衰へざりけむ、水をけり二足ふたあし三足みあし、王の領首えりくびむづと握りて引戻さむとす。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼は自らいはひ、自ら憤り、なほ自ら打ちもけりんずる色をして速々そくそく答を貫一にせまれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そうして何事と驚く家の者には一言も云わず、剣を腰に吊るして外套を着て帽子をかむるが早いか、うまやへ行って馬を引き出して鞍も置かずに飛び乗りますと、イキナリ馬の横腹を破れる程けり付けました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
強く横腹をけり付けながら、一足飛びに都の方へ飛び出しました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)