つめ)” の例文
律法なきに非ず、されど手をこれにつくる者は誰ぞや、一人ひとりだになし、これかみに立つ牧者にれがむことをうれどもそのつめ分れざればなり 九七—九九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
回向ゑかうするやうな持主の目は種牛から離れなかつた。種牛は最早もう足さへも切離された。牧場の草踏散らした双叉ふたまたつめも、今は小屋から土間の方へ投出はふりだされた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
伏しておもふに皇帝陛下、一を得て光宅くわうたくし、三に通じて亭育ていいくしたまふ。紫宸にいまして徳は馬のつめの極まるところにかがふり、玄扈げんこいまして化は船のいたるところを照したまふ。
思わず口々をもれる声に——馬は怖れをなしたか、たじたじと、つめを立てて後ろへ退がった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)