賞玩しょうがん)” の例文
その風采といい、その言葉遣いといい、誠に恐縮せざるを得ないものがある。そこでその花に対する彼女等の賞玩しょうがん態度も推して明らかである。
伝不習乎 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
その美貌びぼうとかの方へかれがちなため、彼女の魂の美しさを物語る遺文がともすれば、好事家こうずか賞玩しょうがんにのみゆだねられてゐることではあるまいか。
ジェイン・グレイ遺文 (新字旧仮名) / 神西清(著)
その他南洋土人の原始的作品や名もない処の画家の稚拙が賞玩しょうがんされ、素人画が賞味され、技法の上に取り入れられたりした事も当然の事であろう。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
へやの構造装飾より茶器の選択に至るまで方式にかかはらず時のよろしきに従ふを賞玩しょうがんすべき事なり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「ウフフ。そんなにうれしいか。生きておって仕合わせよのう。身共もうれしいぞ。まだ賞玩しょうがんせぬが、ゆうべはけっこうな菓子折、散財かけて済まなかった。早う出い。——京弥々々」
待網を掛けて雑魚ざこを捕りひそかに寺へ持帰もちかえって賞玩しょうがんするのだ、この事檀家だんかの告発にり師の坊も捨置すておきがたく、十分に訓誡くんかいして放逐ほうちくしようと思っていると、当人の方でもあらかじめそのあたりの消息を知り
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
変った風味の魚肉を賞玩しょうがんすることもできましょう。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)