触穢しょくえ)” の例文
しばしば触穢しょくえの原因をなしたということがあるから、多分同じころ一時の現象として、御所の燈火も大橋から見えたのだろうとも思われる。
当時触穢しょくえの禁忌をやかましく言った時代であったから、穢物えもつを扱う人を嫌うということは、自然の勢いであったに相違ない。
「エタ」名義考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
『和漢三才図会』に、猴、触穢しょくえを忌む。血を見ればすなわちうれうとあるが、糞をやり散らすので誠に閉口だ。果して触穢を忌むにや。次に〈念珠を見るをにくむ。
もう少し早く伺うつもりだったのですが神事などで御所の中の忙しいころに触穢しょくえのはばかりに引きこもらなければならなくなりますのもいかがと遠慮がいたされましたし
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ひとりここの藤氏とうしの長者ばかりでなく、禁中でも、朝臣一般のあいだでも、“触穢しょくえ”といえば、おぞ毛をふるって、穢れ払いに、幾日でも、門を閉じ、衣冠を廃して、参内さんだい
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがかどつじ川原かわら等に、別に臨時の台所だいどころを特設した理由であり、子どもはまた触穢しょくえいみに対して成人ほどに敏感でないと考えられて、特に接待掛りの任に当ったものと思われる。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
第四種(触穢しょくえ編)たたりさわり、悩み、忌諱きい、触穢、厄落とし、厄払い、駆儺くだ祓除ふつじょ
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
母の隠れ家へは常陸守が来て立ちながら話すのであったが、娘に出産のあったおりもおりにだれかの触穢しょくえを言い立てて引きこもっていることなどで腹だたしいふうに言っていた。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
触穢しょくえの期間の過ぎました時分にもう一度またお立ち寄りください
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)