けた)” の例文
ト見ると襖から承塵なげしへかけた、あまじみの魍魎もうりょうと、肩を並べて、そのかしら鴨居かもいを越した偉大の人物。眉太く、眼円まなこつぶらに、鼻隆うして口のけたなるが、頬肉ほおじしゆたかに、あっぱれの人品なり。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あかはかまにて膝行いざり出で、桶を皺手しわでにひしとおさえ、白髪しらがを、ざっとさばき、染めたる歯をけたに開け、三尺ばかりの長き舌にて生首の顔の血をなめる)汚穢や、(ぺろぺろ)汚穢やの。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)