したしみ)” の例文
よくの一字より、親戚のしたしみも離るゝものなれば、根據こんきよする處をつがせん要なり。さすれば慈愛自然に離れぬなり。
遺教 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
婦人若し智なくして是を信じては必ずうらみ出来易し。元来もとより夫の家は皆他人なれば、うらみそむき恩愛を捨る事易し。かまえて下女のことばを信じて大切なるしゅうとしゅうとめ姨のしたしみうすくすべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その日の彼等は又同胞はらからにも得べからざるしたしみて、ひざをもまじへ心をも語りしにあらずや。その日の彼等は多少の転変を覚悟せし一生の中に、今日の奇遇をかぞへざりしなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
唇歯のしたしみのある中の、この仇討に