見兼みかね)” の例文
聞もせぬ内其挨拶が成べなやといへば大膳は益々氣後せし樣子に伊賀亮も見兼みかねて大膳殿左程に案じ給ふならば極意ごくいをしゆべし先平石の口上を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
附添の女房をたりったりするので、女房が洗面所へ来て泣いているのを、看護婦が見兼みかねて慰めていましたと町井さんが話した事も覚えている。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見兼みかねたとみえて、けさチェッコから来た人が仲裁に這入って何かくどくど言っている。
と云っているのを、同じ長屋にいるおとらという婆さんが見兼みかねて出てまいり
市之丞義見兼みかね候や一兩日すぎ候と金子二十五兩持參致し先年の恩報おんほうじなりとて差出し候へども私し儀一たん市之丞にめぐみたる金子を今如何に困窮こんきうなせばとて請取候ては昔しの志ざしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
突合つきあはせ相談なすに妻のお梅は漸く二十三歳にて縹緻きりやうもよく志操こゝろざしやさしき者なるがをつと難儀なんぎ見兼みかね何事も御主人樣ごしゆじんさまのお爲なれば此身を一年のあひだ何方いづかたなりとも水仕奉公みづしほうこうに遣られ其給金にて夜具蒲團を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)