被服廠ひふくしやう)” の例文
のおなじ火事くわじに、靈岸島れいがんじまは、かたりぐさにするのも痛々いた/\しくはゞかられるが、あはれ、今度こんど被服廠ひふくしやうあとで、男女だんぢよ死體したい伏重ふしかさなつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
殊に僕の住んでゐたのは「お竹倉たけぐら」に近い小泉町こいづみちやうである。「お竹倉」は僕の中学時代にもう両国停車場や陸軍被服廠ひふくしやうに変つてしまつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
また『被服廠ひふくしやうの時のやうにつむじ風が起つて吹き飛ばしたのかも知れませんね』『しかしあんなぺらぺらな紙の帳面ですから、直ぐ焼けてもいいはずですがね』
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
うそまことか、本所ほんじよの、あの被服廠ひふくしやうでは、つむじかぜなかに、荷車にぐるまいたうまが、くるまながらほのほとなつて、そらをきり/\と𢌞まはつたとけば、あゝ、そのうま幽靈いうれいが、くるま亡魂ばうこんとともに
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かく東京中でも被服廠ひふくしやう大勢おおぜい焼け死んだところはなかつたのでせう。」
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)