街角まちかど)” の例文
蝶はいくつかまがきを越え、午後の街角まちかどに海を見る……。私は壁に海を聴く……。私は本を閉ぢる。私は壁に凭れる。隣りの部屋で二時が打つ。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
博士が警察署けいさつしょをでると、外には夕闇ゆうやみがせまり、夜になろうとしていた。街角まちかどには警備けいびのひとが立ち、三人四人と隊を組んだ見張りの者が、町の通りをあるきまわっていた。
ハンチングを横っちょにかむり、何か腹掛はらがけのようなものを胸に当てたアイスクリーム屋のイタリー人が、いつか焼栗やきぐり売りにかわっている。とある街角まちかどなどでばたばたと火をあおぎながら
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
街角まちかどを二三度まがって、電車通りにつうずる横町の、構えは小さいが、小綺麗な料理屋の前で、茂樹は立止った。そして内部を窺いながら躊躇していたが、良一の方へ振向いて囁いた。
椎の木 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ふと木之助は「鉄道省払下はらいさげ品、電車中遺留品、古物ふるもの」と書かれた白い看板に眼をとめた。それは街角まちかどの、そとから様々な古物の帽子や煙草たばこ入れなどが見えている小さい店の前に立っていた。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
二三時間前、浩一が銀座通りを歩いたとき、どこかの街角まちかどに立って、ステッキで、一方をさし示しながら、目と口を一緒に、ひらいたり、ふさいだりしていた、あのサンドイッチ・マンであった。
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
河口かはぐち街角まちかど、工場の屋根などが寂しいねむけに渦卷いて
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
街角まちかどに建物はオルガンのやうに
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)