トップ
>
蝋涙
>
ろうるい
ふりがな文庫
“
蝋涙
(
ろうるい
)” の例文
たたみかけられて、夫人の
鄒氏
(
すうし
)
はわなわなふるえた。
蝋涙
(
ろうるい
)
のようなものが頬を白く流れる。——曹操は、唇をかみ、つよい眸をその
面
(
おもて
)
に
屹
(
きっ
)
とすえて
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飾り付けと云っては一隅の三角
棚
(
だな
)
に、西洋の
骨董品
(
こっとうひん
)
らしい、きたならしく
蝋涙
(
ろうるい
)
のこびり着いた
燭台
(
しょくだい
)
と、その他二三の
蚤市
(
のみいち
)
からでも買って来たらしいガラクタと
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何をするのかと思うと、その
蝋涙
(
ろうるい
)
を中央の通路のマン中にポタポタと垂らしてシッカリとオッ立てた。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そうだ、あの時、岡本兵部の娘は、石の羅漢の首を
後生大切
(
ごしょうだいじ
)
に胸に抱えて、
蝋涙
(
ろうるい
)
のような涙を流し
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
指の先から水が垂れた。乳首の先から水が垂れた。それはあたかも
蝋涙
(
ろうるい
)
のようであった。太股を
素走
(
すばし
)
る水の
縞
(
しま
)
! 両足の母指が上を向いた。寒さに耐えている証拠であった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
勘五郎の返事を
背後
(
うしろ
)
に聴いて、平次は穴倉の中に入って行きました。入口の石の上に、したたか
蝋涙
(
ろうるい
)
が
滾
(
こぼ
)
れているだけ、穴倉の中には、埃が一寸ほども積って、人の入った様子などはなかったのです。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蝋涙
(
ろうるい
)
が彼の心の影を浮べて、この部屋のたった一つの装飾の、銀製の蝋燭立てを伝って、音もなく流れて行った。彼の空想が唇のように乾いてしまったころ、
嗚咽
(
おえつ
)
がかすかに彼の
咽喉
(
のど
)
につまってきた。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
ジ、ジ、ジ……と
燈
(
あか
)
りの
蝋涙
(
ろうるい
)
が泣くように消えかかる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女は
蝋涙
(
ろうるい
)
のような涙を袖でふいて
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
蝋
漢検準1級
部首:⾍
14画
涙
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“蝋”で始まる語句
蝋燭
蝋
蝋色鞘
蝋塗
蝋色
蝋細工
蝋石
蝋管
蝋鞘
蝋梅