おそらくこの種の形を持つものは起原が古く、よく絵にある藤原鎌足ふじわらのかまたり公のかれているくつの形そのままであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
蘇我そが一族はまもなく中大兄皇子なかのおおえのおうじ藤原鎌足ふじわらのかまたりによって滅ぼされ、天智天皇大化改新を断行されて、わが国家がはじめて諸制度を整えたことは史に明らかである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
藤原鎌足ふじわらのかまたりの忠もまたいうまでもない。そもそも諸君は足利尊氏あしかがたかうじ平清盛たいらのきよもり源頼朝みなもとのよりともをも英雄となすであろう。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
鏡王女かがみのおおきみの歌である。鏡王女は鏡王かがみのおおきみむすめ額田王ぬかだのおおきみの御姉に当り、はじめ天智天皇の御寵おんちょうを受け、後藤原鎌足ふじわらのかまたりの正妻となった。此処ここ神奈備かむなび竜田たつたの神奈備で飛鳥あすかの神奈備ではない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
多武峰とうのみねという山と背くらべをしているように見えますが、その多武峰には昔から、藤原鎌足ふじわらのかまたりを祀っておりますゆえに、高見山の方には蘇我入鹿そがのいるかが祀ってあるというようになりました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかしですな、僕等がこの大正時代に於てうまで讃嘆するこの裸婦の美をですな、我国古代の紳士淑女達——たとえば素盞嗚尊すさのおのみこと藤原鎌足ふじわらのかまたり平将門たいらのまさかど、清少納言、達が果して同等に驚嘆するかですな
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)