蕃地ばんち)” の例文
印度インドだとか、南洋だとか、アフリカの蕃地ばんちだとかを舞台にするのは、どうしても必要の場合にはいたしかたがないが、なるべくやめてもらいたい。
私の要求する探偵小説 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
たとえば南洋なんよう蕃地ばんちさんする、華麗かれいなちょうのようなはなをつけたもの、はなじま波浪はろうせるがけのうえに、ぶらさがっているというみじかいもの
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大宋国たいそうこくの北から東の大山脈をさかいとして、その彼方の蕃地ばんちにはりょう韃靼だったんのわかれで契丹きったんともよぶ)という大国がある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
学生時代に肋膜炎ろくまくえんを患ったこともありましたし、その作の「仮面」に拠れば、結核もせられたらしく、それから長年の間、戦闘員でこそなけれ、軍人として戦地に行き、蕃地ばんちにも渡り
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
年々二千五百万ドルからの錫をこの蕃地ばんちから出す七百の鉱山主はどうなります……猛運動をしてようやくここの守備隊長になられた沈大佐も、莫大な徴発金がとれなくなれば、部下のあなたも
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
粗忽そこつにも沖縄を台湾の蕃地ばんちの続きの如く思ってはなりません。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)