ござ)” の例文
庭のすみござの上に、鶏やこひふなや芋やかぶなどが、山のやうにつみ重ねてあつて、そのまはりに犬達が並んでゐます。
犬の八公 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
旅館の主人、馬を勧め、剛力がうりきを勧め、ござを勧め、編笠あみがさを勤む、皆之をしりぞく、この極楽の山、たゞ一本の金剛杖こんがうづゑにて足れりと広舌くわうぜつして、朝まだき裾野をく。
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
ござの上の鉋屑をふるって敷直しますから、助七は会釈をして其処そこへ坐りました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
腰の廻りへ、袴のやうにござを着て、鮎を釣つてゐる人が、水沫しぶきの中で掻き消されて、又しよツぱい顔が浮ぶ。
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)