“葬（とむらひ）” の例文
それが一色（いつしき）になつて回（まは）る。白（しろ）い棺は奇麗な風車（かざぐるま）を断間（たえま）なく揺（うご）かして、三四郎の横を通り越した。三四郎は美（うつ）くしい葬（とむらひ）だと思つた。
三四郎 (新字旧仮名) ／ 夏目漱石(著)
我国では儀式とか祭とか葬（とむらひ）とか云へば、午餐会がなくてはならないからである。会は賑かで、さう／″＼しく、愉快であつた。いろ／＼の演説があつた。
板ばさみ (新字旧仮名) ／ オイゲン・チリコフ(著)
彼は生きたメタルたちの裏がはをものの五分間もジロジロと檢（しら）べ、さて次の判決を下した。その一言々々は葬（とむらひ）の鐘の音のやうに響いた——「みんなのこの髷（まげ）は剪（き）つてしまはぬといかん。」
ジエィン・エア：02 ジエィン・エア (旧字旧仮名) ／ シャーロット・ブロンテ(著)
此（これ）も一人（ひとり）の友人（いうじん）の、谷中（やなか）天王寺（てんわうじ）に於（お）ける其（そ）の葬（とむらひ）を送（おく）つたのである。
銀鼎 (新字旧仮名) ／ 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「お葬（とむらひ）を持ち込んだわけぢやないよ」
銭形平次捕物控：300 系図の刺青 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)