葦原あしはら)” の例文
葦原あしはらの中つ国はもはやすっかりたいらいだ。おまえはこれからすぐにくだって、さいしょ申しつけたように、あの国を治めてゆけ」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「お前がわたしを助けたように、この葦原あしはらの中の國に生活している多くの人間たちが苦しい目にあつて苦しむ時に助けてくれ」
荒涼と見渡す限りに連なった地平線の低い葦原あしはらを一面におおうた霙雲みぞれぐものすきまから午後の日がかすかに漏れて、それが
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
すなわち海陸の交通はわが葦原あしはらなかくにのように、夙く上代において断絶してはしまわなかったのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と少年は相変らず葦原あしはら邦子の額を仰ぎながら、苦もなく言って退けた。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
富士の山浜名の海の葦原あしはらの夜明の水はむらさきにして
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
葦原あしはらをわたる秋の風が、なまぐさい。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
また、父や兄の申しあげましたとおりに、この葦原あしはらの中つ国は、大空の神のお子さまにさしあげますでございます
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かれここに天照らす大御神かしこみて、天の石屋戸いはやどを開きてさしこもりましき。ここに高天たかまの原皆暗く、葦原あしはらの中つ國悉に闇し。これに因りて、常夜とこよ往く
日本は旧国のほまれが高かったけれども、この葦原あしはらなかくにへの進出は、たった二千六百余年の昔である。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
天照らす大神のお言葉で、「葦原あしはら水穗みずほくに御子みこのマサカアカツカチハヤヒアメノオシホミミの命のお治めあそばすべき國である」と仰せられて、天からおくだしになりました。
わしたちは天照大神あまてらすおおかみ高皇産霊神たかみむすびのかみとのご命令で、わざわざお使いにまいったのである。大神はおまえが治めているこの葦原あしはらなかくには、大神のお子さまのお治めになる国だとおっしゃっている。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
まず日本の北部諸県にあっては、大昔、大師という人が天竺てんじくに渡って、一穂ひとほの稲を盗んできて、狐に頼んでこれを葦原あしはらの中に隠させた、という類の話が少しずつの変りをもって、弘く流布るふしている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)