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荒
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さび
ふりがな文庫
“
荒
(
さび
)” の例文
叔母は
荒
(
さび
)
れた秋口の湯治場に、長く独りで留まっていられなかった。宿はめっきり
閑
(
ひま
)
になって、広くて見晴しのよい部屋が
幾個
(
いくつ
)
も空いていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし声は少し
荒
(
さび
)
を帯びた次高音になっているのである。
木精
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
町幅のだだっ広い、単調で
粗雑
(
がさつ
)
な長い大通りは、どこを見向いても陰鬱に
闃寂
(
ひっそり
)
していたが、その癖寒い冬の夕暮のあわただしい物音が、
荒
(
さび
)
れた町の底に
淀
(
おど
)
んでいた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これまで長いあいだいやいや執着していた下宿生活の
荒
(
さび
)
れたさまが、一層明らかに振り
顧
(
かえ
)
られた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
家の
荒
(
さび
)
れている様子が、ひしひしお庄の胸に感ぜられた。お庄が行くとき
傭
(
やと
)
い入れた女中の姿も見えず、障子の破けた台所の方もひっそりして、二階にも人気がなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
荒
(
さび
)
れたその町に包まれた自分の青年時代の厭な記憶に、
面
(
おもて
)
を
背
(
そむ
)
けたいような心持になった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
上って行くと、
荒
(
さび
)
れたような家の空気が、お庄の胸にもしみじみ感ぜられた。母親は、この
界隈
(
かいわい
)
の
内儀
(
かみ
)
さんたちの着ているような袖無しなどを着込んで、裏で子供の着物を洗っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
“荒”を含む語句
荒廃
荒野
荒海
荒男
荒神
荒磯
荒涼
荒寥
荒地
荒魂
吹荒
荒蕪地
荒増
荒凉
荒立
荒熊
荒天
荒庭
荒甲
荒唐無稽
...