芳野よしの)” の例文
で、高尾たかを薄雲うすぐも芳野よしのなど絶世ぜつせい美人びじん身代金みのしろきんすなは人參にんじん一兩いちりやうあたひは、名高なだか遊女おいらん一人いちにん相當さうたうするのであるから、けだ容易よういなわけのものではない。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天武天皇が一時芳野よしのの山にお入りになる時、この村でお休みなされると、煮た栗を献上したものがあった。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
南朝の回想、芳野よしのの懐古、くすのき氏の崇拝——いずれも人の心の向かうところを語っていないものはなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
外に証拠を求める必要はない、この寺建立の願主天武天皇いまだ東宮であらせられる時、大友皇子に襲われて芳野よしのから大和国宇多うだこおりを通られた際の兵、わずかに十七騎であった。
その身請ようという客は、欧米を航海して無事に此のごろ帰朝されました、軍艦芳野よしのの乗組員で少しは巾のきくお方、お名前は判然と申し上げるもはゞかりますから、仮に海上渡うながみわたると申しあげて置きます
先達て奈良、芳野よしのへ御旅行の折、御母上様の御墓所に御参詣ごさんけいの事と拝察いたされ候。ふた昔ばかり前か、維新の際長岡藩士の窮状を『しがらみ』にてか拝見仕候。今は夢のやうに、ぼうつと覚え居候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
ふようの雪の精をとり、芳野よしのの花のをうばい
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
花咲けば芳野よしのあたりをかけまわり 水
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)