花隈はなくま)” の例文
うわさには、花隈はなくまから兵庫の浜へ出て、船をひろい、備後びんご尾道おのみちへ落ちて行ったとあるが——ようとしてしばらく所在が知れなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先陣を望んで止まないので、到頭その居城の順序に依って、高槻の高山、茨木の中川、花隈はなくまの池田の順になった。
山崎合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
約束の日曜日には、朝の十時に父子で蘆屋へ来、一二時間家で遊んでから、主人側の四人と都合六人でハイアを神戸まで飛ばして、花隈はなくまの菊水へ行った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
絞るだけ絞られているのも彼自身なんだ、……あの鬼女の貯金帳はいま元の十倍以上にもなってる、おまけに、あいつは近いうち花隈はなくまへ酒場を出すそうだが
陽気な客 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
裂帛れっぱくの掛け声掛かるや、大いなる蝙蝠こうもり天井に向かって翩翻へんぽんとして飛んだかと見えたが、これぞ上州花隈はなくまの城主戸沢山城守直伝の秘法すなわち天狗飛切りの術。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
船の出るまで花隈はなくま朧月おぼろづき
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
花隈はなくまくまというと、この辺の漁村や町では、こわがられている親分である。もうひとりは生田いくたの万とかいう精猛せいもうなるなまものであった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上州花隈はなくまの城主として、天狗飛切りの秘術を編み出し、当時芳名ほうめいかんばしいところの、戸沢山城守より伝授されたる小太刀潜入飛燕の術もて、岩に手を掛け枯木に縋りまたは空中を両手であお
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この近所の株屋街の旦那だんならしいのが店員を二三名連れたのと、その向うの端に、花隈はなくまの芸者らしいのがねえさん株を頭に三人いるのと、それだけでもうぎっしりで、客達のうしろと壁との間には
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この事態にたいしては、花隈はなくまの熊も、生田の万も、また柴田しばた牟礼むれ、浮田などのやからも、もはや仲間喧嘩はしていられなくなった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花隈はなくまの城主戸沢山城守やましろのかみ殿」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一方、伊丹城を始め、花隈はなくまや尼ヶ崎の支城を捨てて諸所へ逃げかくれた男らしからぬ男どもは、当然、見つかり次第討ち取られた。中には
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この辺の顔役かおやく花隈はなくまくまと、生田いくたまんという親分が、この街道すじの客をあいてに、毎年の例で、野天のてんで餅つきの盆ござ興行をいたすのだ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
摂津の伊丹いたみ花隈はなくまの二城がくずれ、大坂本願寺が滅去してから、とみに増兵運輸の利を得て、この春には、固いところ十万以上の兵力を挙げて来よう。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかに三木の三道をふさいでも、毛利の兵糧船は摂津の花隈はなくまあたりから兵糧を上げて、丹羽にわを越え、淡河を経、その方面から難なく城中へ物を送り入れるでしょう
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)