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はしけ
ふりがな文庫
“
艀舟
(
はしけ
)” の例文
見廻り同心
久良山
(
くらやま
)
三五郎、土地の御用聞常吉と伊太郎といふのが二人、それに平次と八五郎を加へて、橋の袂から
艀舟
(
はしけ
)
を出しました。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
与力と御船手が立ちあいの上で、送り帳と人間を照しあわせて間違いがないとなると、
艀舟
(
はしけ
)
に乗せて品川沖の遠島船へまで送りとどける。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と、お十夜孫兵衛、それにすがってはね上がると、次にそれへならって周馬も槍へつかまったが、呼吸が足らない、ドタンと
艀舟
(
はしけ
)
へ
辷
(
すべ
)
り落ちた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が海は相かわらず
潮騒
(
しおさい
)
の音を立てて、岸辺に打ち寄せていた。
艀舟
(
はしけ
)
が
一艘
(
いっそう
)
、波間に揺れていて、その上でさも
睡
(
ねむ
)
たそうに小さな灯が一つ明滅していた。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
黙って一語を発せぬ胸の内には言うに言われぬ
苦
(
くるし
)
みがあるらしい。男も
悄然
(
しょうぜん
)
として居る。人知れず力を入れて手を握った。直に
艀舟
(
はしけ
)
に乗った。女は身動きもせず立って居た。
句合の月
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
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甲板給仕
(
デッキ・スチュワアド
)
が
船腹梯子
(
ギャング・プランタ
)
に立って
艀舟
(
はしけ
)
を呼ぶ。声に応じて、幾つもの赤い
土耳古
(
トルコ
)
帽が
櫓
(
ろ
)
を操って殺倒する。上陸する女客たちは、大げさに怖がって、水夫の手で小舟へ助け下ろされる。
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
上の橋から船番所の
艀舟
(
はしけ
)
が出て、二丁ほど川下で水も呑まずに棹にかかった。
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この時も、予は亦突然
艀舟
(
はしけ
)
を
陸
(
をか
)
にあげる人々の叫聲に驚かされた。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
カリヤルが、
艀舟
(
はしけ
)
を出すといふ。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「あ、お役人樣方、どうしようか、途方に暮れてをりました。兎も角、
艀舟
(
はしけ
)
を出して、お醫者に人を走らせましたが」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
赤い
灯影
(
ほかげ
)
が
映
(
うつ
)
る
隙間
(
すきま
)
もないほど、川には
艀舟
(
はしけ
)
がこみ合っている。四国屋の五ツ戸前の蔵からは、まだドンドンと艀舟へ荷が吐かれている盛りだった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
測
(
はか
)
り知られざるなにかの理由で船を見すてなければならなかったとしても、では、どんな方法で船を去って行ったのか。備えつけの二艘の
艀舟
(
はしけ
)
は
苫屋根
(
とまやね
)
の両がわに縛りつけられたままになっている。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
艀舟
(
はしけ
)
から本船に荷物を積み入るる人々の掛聲は殊に興が深い。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
四国屋の船から凱歌をあげた
数艘
(
すうそう
)
の
艀舟
(
はしけ
)
は、暗い大川を斜めにさかのぼって、安治川屋敷へと
櫓韻
(
ろいん
)
をそろえた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの晩茂野が藥取に行つた
序
(
ついで
)
に覗いて見ると、城彈三郎が棧橋を渡つて海賊銀太の
艀舟
(
はしけ
)
に乘つた。話聲ですぐ歸ると解つたとしたら、茂野はどうするだらう」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
橋場へ行くと、伊豆屋へは入らず、裏から廻って、かねて用意したらしい、一艘の
艀舟
(
はしけ
)
に潜りました。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
誰も捨てる気じゃないけれど、宝石や時計を密輸入する時は、
艀舟
(
はしけ
)
の底に穴をあけておいてそこから水のはいらないようにゴムの袋を、舟底へぶら下げておくんだよ。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋場へ行くと、伊豆屋へは入らず、裏から廻つて、豫て用意したらしい、一艘の
艀舟
(
はしけ
)
に潜りました。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの晩茂野が薬取りに行ったついでに覗いてみると、城弾三郎が桟橋を渡って海賊銀太の
艀舟
(
はしけ
)
に乗った。話し声ですぐ帰ると解ったとしたら、茂野はどうするだろう」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その間に、平次が何やら
囁
(
さゝや
)
くと心得た八五郎は、
艀舟
(
はしけ
)
を呼んで西兩國へ漕がせて行きます。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
艀
漢検1級
部首:⾈
13画
舟
常用漢字
中学
部首:⾈
6画
“艀”で始まる語句
艀
艀船
艀板