おも)” の例文
中には金魚が落雁らくがんを食ったような美少年も多く、南方先生「大内の小さ小舎人ことねりててにや/\」てふ古謡をおもい起し、寧楽なら・平安古宮廷の盛時を眼前に見る心地して
さりながら指折り数うれば最早もはや幾日かすぎぬ、奈良という事おもい起してはむなしく遊びるべきにあらずとある日支度整え勘定促し立出たちいでんというに亭主ていしゅあきれて、これは是は、婚礼もすまぬに。ハテ誰が婚礼。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
熊楠十歳の頃、『文選』を暗誦して神童と称せられたが、近頃年来多くの女の恨みで耄碌もうろくし、くだんの魚瞰鶏睨てふ王褒の句が、『文選』のどの篇にあるかをおもい出し得ない。
長者すなわち妙光を一室に鎖閉とじこめ、自ら食を衆僧に授くるその間、妙光室内でかの僧この僧と、その美貌をおもい出し、極めて愛染あいぜんを生じ、欲火に身の内外を焼かれ、遍体汗流れて死んだ。