膚身はだみ)” の例文
紫の襟をむように——ふっくりしたのが、あわれにやつれた——おとがい深く、恥かしそうに、内懐うちぶところのぞいたが、膚身はだみに着けたと思わるる、……胸やや白き衣紋えもんを透かして、濃い紫の細い包
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
秋の空は高く晴れて西からふく風がひやひやと膚身はだみにこたえます。
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
麝香入じゃこういりの匂袋ででもある事か——坊は知るまい、女の膚身はだみを湯で磨く……気取ったのはうぐいすのふんが入る、糠袋が、それでも、殊勝に、思わせぶりに、びしょびしょぶよぶよと濡れて出た。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たとひ膚身はだみけがさずとも、をつとれた、とひ、はづかしいのと、口惜くやしいのと、あさましいので、かツと一途いちづ取逆上とりのぼせて、おつや兩親りやうしんたち、をつとのまだかへらぬうちに、扱帶しごきにさがつて
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)