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腓
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こむら
ふりがな文庫
“
腓
(
こむら
)” の例文
この五六日水気の来たような感じのあった右の足の
腓
(
こむら
)
の筋が、歩いているうちに張って来たので、老婆はすこし跛を引くようにしていた。
地獄の使
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
松並木の下の、茶店で休むと、
腓
(
こむら
)
に何か重い物を縛りつけているようで、腰も、足も立たなくなってしまった。茶店の亭主が、江戸からと聞いて
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
何故って、ここはお前……お前が何時か
腓
(
こむら
)
を返して
沈
(
しずみ
)
懸った時に、
俺
(
おら
)
がその柔かい真白な体を
引抱
(
ひんだ
)
いて
助
(
たすけ
)
揚げたとこだ。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
膝小僧のあらわな、
腓
(
こむら
)
のたくましく膨れた顔をしかめたような女がくるくるとまわされながらステージの前でいった。
その一年
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
とか何とか掛声をかけると同時に一二歩進み、ひょいと右か左、どっちかの足を曲げて、パン! と靴裏でもう片方の脚の
腓
(
こむら
)
辺を叩く。靴が軟かいし、永年の修練で
茶色っぽい町
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
十二年前熊野の勝浦の漁夫がこの鮫を取って船に入れ置き、
腓
(
こむら
)
を大部分噛み
割
(
さ
)
かれ病院へ運ばるるを見た、獰猛な物で形貌奇異だから古人が神としたのも無理でない
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
腿立
(
ももだち
)
を取ったために見えている右の
腓
(
こむら
)
に一寸ばかりの傷があって、血が絶えず流れている。
三浦右衛門の最後
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
腓
(
こむら
)
を手当てしてやったばかりの将校候補生の繃帯を今一度解いて、念入りに検査し始めた。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼はそれがすぐ傍に
繋
(
つなが
)
れたステラの船室から
漏
(
も
)
れる明るさなのを了解した。そのとき引き残された窓布のすきに妙に黄ぼけた
腓
(
こむら
)
がふと動いた。彼はすばやく別の
舷
(
ふなばた
)
へと跳び移つた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
脛のほうが屁古たれて参ってしまい、
腓
(
こむら
)
がこむらの役をしなくなると、そこではじめて美脚法の目的を達するわけである。それにしても〈天使のような足〉とはうまくいったものだ。
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
腓
(
こむら
)
つき清げの姫や
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
この候補生は前進の途中、後方から味方の弾丸に
腓
(
こむら
)
を射抜かれたのです。それで匐いながら後退して来る途中、眼の前の十数メートルの処で敵の
曳火弾
(
えいかだん
)
が炸裂したのだそうです。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その三度目の逃亡の時に……
今朝
(
けさ
)
です……ヴェルダンのX型
堡塁
(
ほうるい
)
前の第一線の後方二十
米突
(
メートル
)
の処の、夜明け前の
暗黒
(
くらやみ
)
の中で、この
腓
(
こむら
)
を上官から撃たれたのです……この包を妻に渡さない間は
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
腓
漢検1級
部首:⾁
12画
“腓”を含む語句
腓腸
腓脛
腓骨
二頭腓脹筋
手腓
脛腓
腓腸部
腓返